武庫川女子大学 建築学科・大学院建築学専攻
 大学院建築学専攻 建築設計実務I トルコ・バフチェシヒル大学における海外実習 

Inter Cultural Studies of Architecture in Istanbul
2010

2010年9月23日(木)〜10月9日(土)

 建築学科は「6年制の欧米型建築家教育」を実践し、6年一貫の大学院JABEEや「世界建築家教育基準」に適合する教育を実施しています。これによって世界の多様な生活や文化などに深い洞察のある人格を養い、グローバルで国際的な活躍ができる建築家を育成します。この教育の一環として、2008年12月に締結したトルコ・バフチェシヒル大学との間の一般交流協定に基づき、2010年9月23日(木)〜10月9日(土)の17日間、修士1年生11名が建築設計実務Iの授業の一環としてトルコ・バフチェシヒル大学を訪れ、バフチェシヒル大学の企画の下で保存修復関連の実務訓練を行いました。

  引率教員:柳沢准教授、森本助手

>>10月1日〜10月9日
トルコ海外実習7日目
「ガラスアトリエにおける実習その1」
2010年9月30日(木)
ガラスアトリエ The Glass Furnace を訪問 代表的なガラスの作り方や、ガラスアトリエにおけるワークショップの様子について、映像を見ながら説明を受ける
吹きガラスの製作工程の見学 吹きガラスの製作工程の見学
ガラスアトリエ内の施設を見学 ガラスアトリエでの昼食
吹きガラスの製作を体験する
ガラス職人さんの指示に合わせ、少しずつ息を吹き込みガラスの形を整えていく
フュズヨンと呼ばれる技法によるガラス細工の作り方について、工房の方から説明を受ける
工房の方から指導を受けながら、各自の作品作り フュズヨンと呼ばれる技法によるガラス細工の製作実習
模様となるガラス片を、専用の道具を使い切り出していく
学生の作品 学生の作品
お世話になった工房の方にお礼の挨拶をする
トルコの伝統的な吹きガラスのチェシュミ・ビュルビュルについての説明を聞く
バフチェシヒル大学のあるベシクタシュの街で夕食を取る
 本日は、イスタンブールの黒海付近のシレという街にあるガラスアトリエ The Glass Furnace で実習を行いました。The Glass Furnaceでは宮殿関連のガラス製品を製作するとともに、世界各国の有名なガラスの芸術家を講師として招き、ガラス製品製作の実習も行っています。まずは吹きガラスの製作作業の様子を見学し、その後工房の方たちのサポートを受けながら、吹きガラスの花瓶の簡単な製作体験を行いました。次に別の部屋に移動し、フュズヨンと呼ばれる技法によるガラス細工を製作しました。透明ガラスの上に、自由にカットした色ガラスを並べていきます。後日、工房の方で窯に入れてもらい、ガラスが溶けて一体となったオブジェや皿ができあがります。まるで空間表現基礎演習の授業内容のようで、学生たちは喜んで取り組んでいました。その後工房内のショップへ行き、トルコの伝統的な吹きガラスでチェシュミ・ビュルビュルと呼ばれる模様の花瓶や伝統的なお守りであるナザール・ボンジュウ、そしてフュズヨンによる製品などを見学しました。
トルコ海外実習6日目
「ドルマバフチェ宮殿における保存修復現場の見学」
2010年9月29日(水)
修復中の皇太子のための建物 皇太子のための建物内部の修復現場に向かう
大学内のバフチェ・カフェにて昼食
ドルマバフチェ宮殿の前で記念撮影
宮殿内の一般見学ツアーに参加する 仮足場を上り、宮殿内部の天井修復現場に向かう
天井修復現場を見学する 実際に修復を担当されている現場の方から説明を受ける
石飾りの工房の見学の様子 石の加工に必要な道具の説明
石の加工方法を見せていただく 石の加工方法を見せていただく
実際に石の加工を体験する
石飾りの工房の方々と記念撮影
亜鉛の工房 溶けた亜鉛を板状にする型枠の見学
代理石模様のスタッコを制作する工房
大学内のデニス・カフェにて夕食
夕食後、大学の屋上テラスにてボスフォラス海峡をスケッチ
 本日は、19世紀中ごろに建造されたスルタンの居城であるドルマバフチェ宮殿において、保存修復現場等の見学を行いました。宮殿敷地内にある皇太子のための建物の保存修復現場や宮殿内の階段横ホールの保存修復現場を見せていただきました。特に天井修復の現場では、仮足場の上に登らせていただき、修復作業の様子を目の前で確認することができました。また観光客に交じって一般見学のコースを歩き、ユルドゥズ宮殿の工房で修復されていたドア、窓、寄木貼りの床、学生が模写をした燭台の脚の装飾、その他室内装飾品の数々を確認しました。ドルマバフチェ宮殿に付属の工房群も見学しました。特に石飾りの修復作業を行っている工房では、金槌と専用ののみを使用して、石表面に装飾用の凹凸ラインを入れる体験を学生全員にさせていただきました。バフチェシヒル大学で夕食をとった後は、目の前のボスフォラス海峡のスケッチを行いました。
トルコ海外実習5日目
「ユルドゥズ宮殿の工房における保存修復実習 その2」
2010年9月28日(火)
前日から引き続いて、装飾原画の模写を行う
模写の様子 お世話になった工房の方々に折り紙をプレゼント
家具の修復工房の方々と記念撮影
金箔の修復工房 実際の作業を交えながら金箔の修復について説明していただく
金箔の修復作業を体験 金箔の修復作業を体験
金箔の仕上げ作業を見せていただく
宮殿の厩だった建物が、工房の一つとして使用されている
布クロス・絨毯工房の方々と記念撮影
建築関連の工房にて作業中の窓枠の加工について説明を受ける
寄木貼りの床材についての説明 作業中の寄木貼り床材の見学
工房の方に、作業中の作り付け家具について、説明を受ける
グループに分かれて、窓枠とドアの実測 ヘレケ工房のドアの実測作業の様子
ドルマバフチェ宮殿の窓枠の実測作業の様子 トルコの大工さんから、枠形状について説明を受ける
 本日もユルドゥズ宮殿の工房で保存修復実習を行いました。まず昨日に引き続き、装飾原画の模写を行いました。次に金箔の修復作業を行っている工房を見学させていただきました。現在修復中の、ドルマバフチェ宮殿の鏡の額縁に対して、少しではありますが特別に各自が金箔を貼るという貴重な体験をさせていただきました。また壁の布クロスや絨毯の修復作業を行っている工房も見学させていただきました。次に建築関連の工房群へ行き、木製建具や木製家具の修復作業を行っている工房を見学させていただきました。そして、その工房から提供された現在修復中のドルマバフチェ宮殿の窓と、オスマン帝国初の工房であり絨毯で有名なヘレケ工房のドアを対象として、グループに分かれて実測を行いました。
トルコ海外実習4日目
「ユルドゥズ宮殿の工房における保存修復実習 その1」
2010年9月27日(月)
オスマン帝国時代の箪笥の修復の説明 修復はまず枠から行われる
ドルマバフチェ宮殿のクローゼットの扉の塗装修復
表面の穴から空気が入るのを防ぐため、石の粉末を表面にすり込む
機械により木を高速に回転させながら木製装飾品を作っていく
手作業によって作られる木製装飾品
30種類以上ののみが使われる
セデフと呼ばれる貝装飾品の修復の説明
布の修復の説明 布の修復はトラブルが多く、作業がよく遅れるとのこと
ガラスや陶器の修復の説明
装飾原画の模写を行う
工房の様子
装飾原画 クローゼットの装飾 装飾原画 燭台の脚の装飾
装飾原画 燭台の脚の装飾 装飾原画 燭台の脚の装飾
 本日はユルドゥズ宮殿の工房で保存修復実習を行いました。ユルドゥズ宮殿の工房は国立で、そこでは、ドルマバフチェ宮殿をはじめとするトルコの宮殿全体、そして世界各国にあるオスマン帝国時代の室内装飾品や建築関連の保存修復作業を行っています。大きく分けて室内装飾品関連の工房群と建築関連の工房群があり、本日は室内装飾品関連の工房群にお世話になりました。クローゼットのドアの塗装修復作業を行っている工房、手すりや椅子の脚などの木製装飾品の修復作業を行っている工房、セデフと呼ばれる貝装飾品などより細かい装飾品の修復作業を行っている工房、カーテンなどテキスタイルの修復作業を行っている工房、ガラスやタイルの修復作業を行っている工房、椅子の修復作業を行っている工房を見学させていただきました。その後、セデフの工房から提供された燭台の脚の装飾やクローゼットの装飾の修復のために描かれた装飾原画の模写を行いました。学生たちは現在、トルコの文化の最高峰の世界に触れています。
トルコ海外実習3日目「エディルネ見学」
2010年9月26日(日)
セリミエ・ジャーミィ
オスマンの大建築家ミマール・シナンの設計。彼はこの建物を自らの最高作と言っている
セリミエ・ジャーミィのドーム内観
一つの大きなドームによる一体的な空間が特徴
セリミエ・ジャーミィ内部
セリミエ・ジャーミィをスケッチする
ドームの周囲には高さ70mのミナーレがそびえる
真剣な表情でスケッチを行う学生たち トルコの学生とスケッチを見せ合う
エスキ・ジャーミィ
エスキとは「古い」という意味。ドームが低く、多くのドームをもつ
エスキ・ジャーミィ内部
柱にはコーランなどのカリグラフィが書かれている
ユチ・シェレフェリ・ジャーミィ
4つのミナーレが全て異なる形をしている。これはその中のひとつで螺旋形のミナーレ
ユチ・シェレフェリ・ジャーミィの中庭で身を清める
ユチ・シェレフェリ・ジャーミィ内部
横長で奥行きがあまりない空間が特徴的である
バヤジット2世の医学博物館の中庭を歩く
バヤジット2世の精神病棟内部
中心に噴水があり、ドーム内部には水の音と音楽が流れる。ドーム足元の小部屋が病室となっている。オスマン朝時代の医療の様子を人形を使って説明しており、左奥は当時の音楽療法の楽団が再現されている.
バヤジット2世の精神病棟内部
オスマン朝時代の音楽療法の楽団の再現 左側では患者さんが音楽を聴いている
 本日はギリシャやブルガリアとの国境近くに位置するエディルネを見学しました。古代ローマ皇帝ハドリアヌスが町造りをしたのが起源と言われ、かつてはハドリアノポリス(アドリアノープル)と呼ばれた街です。オスマン帝国の首都であった時期もありました。オスマンの大建築家シナンの設計で彼自身が最高作と位置付けるセリミエ・ジャーミィ、エディルネの町で一番古いエスキ・ジャーミィ、4つのミナーレが全て異なる形をしているユチ・シェレフェリ・ジャーミィ、音楽療法のための空間が特徴的なバヤジット2世の医学博物館などを見学しました。ICSA in Japanを経験したトルコの学生6名も参加しました。
トルコ海外実習2日目「イスタンブール歴史地区見学」
2010年9月25日(土)
アヤソフィア 外観
アヤソフィア 内観 トルコの学生との交流
トプカプ宮殿 ハーレム スルタンアフメット・ジャーミィをスケッチする
スルタンアフメット・ジャーミィは宗教施設なのでスカーフを着用してスケッチをする
グランドバザール
 本日は世界遺産であるイスタンブール歴史地区を見学しました。イスタンブールはアジアの文化とヨーロッパの文化が交じり合う、世界屈指の歴史都市です。バフチェシヒル大学のムラト副学部長とシネム助手に終日案内していただきました。ビザンチン建築の最高峰であるアヤソフィア、オスマン帝国のスルタンの居城であるトプカプ宮殿、ブルーモスクと呼ばれるスルタンアフメット・ジャーミィ、約4400軒の店があるとも言われるグランドバザールなどを見学してスケッチを行い、イスタンブールの壮大な歴史に触れることができました。また ICSA in Japan を経験したトルコの学生2名も参加し、日本の学生たちは彼女たちからもトルコの文化についていろいろと学ぶことができました。
トルコ海外実習1日目「バフチェシヒル大学訪問」
2010年9月24日(金)
イスタンブール・アタチュルク国際空港に到着
ユルマズ学長とアフメット学部長に対する表敬訪問
右 ユルマズ学長  左 アフメット学部長 大学のテラスにてイスタンブールの街の説明を受ける
Iバフチェシヒル大学日本文化研究センター訪問
 関西国際空港を23日(金)の夜に出発し、ドバイ国際空港経由でイスタンブール・アタチュルク国際空港に到着しました。空港ではバフチェシヒル大学のムラト副学部長に出迎えていただきました。大学のバスに乗り込み、まずバフチェシヒル大学へと向かいました。大学到着後、ユルマズ学長とアフメット学部長に対する表敬訪問を行いました。
 その後、6月にオープンしたばかりの日本文化研究センターを訪問しました。
>>10月1日〜10月9日
■滞在したホテル
ホテルの前の通り青い看板がホテル ホテルの客室内
ホテルのロビー 客室からの風景
■スケジュール

9/23

関西国際空港出発

9/24

イスタンブール到着

バフチェシヒル大学訪問

9/25

イスタンブール歴史地区 見学

9/26

エディルネ見学

9/27

ユルドゥズ宮殿の工房における保存修復実習 その1

9/28

ユルドゥズ宮殿の工房における保存修復実習 その2

9/29

ドルマバフチェ宮殿における保存修復現場の見学

9/30

ガラスアトリエにおける実習 その1

10/1

ガラスアトリエにおける実習その2

ドルマバフチェ宮殿内の展示見学

10/2

ブルサ見学
10/3 イスタンブール見学
10/4 イズニックタイルの実習

10/5

ソロズの歴史的木造住宅建築の見学
10/6

クデッブにおける保存修復実習

10/7 ゼイレック地区他の木造住宅見学

オスマン帝国文化史講義

10/8 ICSA in Istanbul 2010 スケッチ展
イスタンブール出発

10/9

関西国際空港到着

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