武庫川女子大学 建築学科・大学院建築学専攻
 
武庫川女子大学東京センター主催 講演会シリーズ

「シルクロードの文化と建築」

 武庫川女子大学は講演会シリーズ「わが国の近代建築の保存と再生」を、東京駅前の日本工業倶楽部で、年3回ずつ4年にわたって開催しています。明治以降のわが国の近代建築とは、洋風と和風という二つの異文化が表裏をなしながら見事に共存している生活空間であったことを紹介してきました。
 今年度から、新たに講演会「シルクロードの文化と建築」を年1回ずつ加えることになりました。シルクロードには、わが国と地中海を結ぶはるかにダイナミックで長い歴史の異文化交流があります。どうぞご期待ください。

(武庫川女子大学教授 岡崎 甚幸)

 

 シルクロードという言葉は歴史的であると同時に、いくぶんロマンの香りを漂わせた象徴的な表現です。絹と絹製品は、紀元前7世紀ごろ中国の春秋時代に作り出されたと『漢書』地理志に記されています。戦国時代の前5世紀ごろにはもう広く周辺地域に交易品として流布していたにちがいありません。絹が東西交易の花形のようになるのは、おそらくローマが深くアジアと関わるようになってからでしょう。中央アジアは、その東西文物交流の回転盤の役割を果たし、遠近、国・民族の違いも関係なく越境的な文化の流布に大きく貢献したのです。わが国の正倉院はその文化のしぶきをありのままに受け止めています。
 シルクロードの核となる地域の遺跡が多く世界遺産に登録され、世界の関心を惹くいま、もっとも早くその価値を認め、もっとも持続してシルクロード文化の結晶を保全してきた日本人として、いまその歴史の密度を改めて振り返るときではないでしょうか。

(和光大学名誉教授 前田 耕作)

 

 シルクロードは、日本人のみならず、世界中の人々の好奇心や探究心をかきたててきました。シルクロードの東の端に位置する日本、そして日本人は、つねにこのシルクロードを憧憬の眼差しで見つめてきました。シルクロード沿いの地域では、いくつもの文明が興り、幾多の王朝が興亡を繰り返し、歴史にその名を刻んできました。また、そこに住む人々は、多様な自然環境に適応して生きてきただけでなく、豊かで、素晴らしい文化を生み出してきました。シルクロードは、何千年にもわたって人々が生きてきた舞台です。それと同時に、このシルクロードは、何千年もの間、人々の交流、交易の場でもありました。21世紀に入り、グローバル化が叫ばれる今、この講演会は、洋の東西を結んでいたシルクロードを見つめ直す貴重な機会となるでしょう。

(東京文化財研究所 地域環境研究室長 山内 和也)

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第3回

「シルクロードが結ぶ西と東の造形」

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 武庫川女子大学東京センター主催の講演会シリーズ『シルクロードの文化と建築』の第3回目の講演会「シルクロードが結ぶ西と東の造形」が、2月27日(土)に東京丸の内の日本工業倶楽部会館で行われました。今回は、和光大学名誉教授の前田耕作氏と国士舘大学イラク古代文化研究所 教授の岡田保良氏によるご講演に加えて、プーリー・アナビアン氏(サントゥール奏者)、ダリア・アナビアン氏(ペルシャ文化伝道士、ペルシャ音楽と歴史のナビゲーター)をお招きしてペルシャの伝統音楽を演奏いただきました。

 

  講演会は、プーリー・アナビアン氏の演奏からスタートしました。ペルシャの伝統楽器であるサントゥールは、台形の箱に72本の金属製の弦を張った打弦楽器で、細いバチで直接弦をたたいて音楽を奏でます。後にヨーロッパに伝わり、ピアノへと発展したと言われています。演奏のあと、ダリア・アナビアン氏からサントゥールの歴史や演奏された曲の内容など詳しく紹介していただきました。

 

 前田耕作氏からは「ヘラクレスの旅:東洋と西洋の出会い」というタイトルでご講演をいただきました。長年にわたり発掘調査や研究、保存・修復たずさわってこられたバーミヤーン遺跡の紹介からはじまり、東大寺法華堂にある執金剛神像の造形の起源についてお話しいただきました。ギリシア神話の英雄ヘラクレスがシルクロードを東へ進むにつれて執金剛神へと変化していく過程を、さまざまな遺跡から出土した像やコインに刻印された図像から読み解き、詳細にご説明いただきました。

 

 岡田保良氏からは「比較ドーム建築論:ローマとシルクロード」というタイトルでご講演をいただきました。石材やレンガで積み上げられたローマのペンデンティブ・ドームとイスラームのスキンチ・ドームを中心に、さまざまなドームの形態について示されました。ローマ世界とシルクロード世界の影響関係の手がかりをヨルダンやシリア、イランなどのドーム遺構の事例をあげながら、詳しく解説いただきました。

 

  多くの方々にご来場いただき、誠にありがとうございました。次回は2016年6月4日(土)に「シルクロードにおける異文化の出会い」と題しまして、森本公誠氏(東大寺長老)と西藤清秀氏(奈良女子大学 特任教授、奈良県橿原考古学研究所 技術アドバイザー)をお招きします。また、FUJI(藤井良行)氏(トルコの伝統的弦楽器・サズ奏者)によるトルコの伝統音楽の演奏もあります。どうぞご期待ください。

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岡阜囃z学科長 趣旨説明
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プーリー・アナビアン氏による演奏の様子
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ダリア・アナビアン氏による解説の様子
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ペルシャの伝統楽器・サントゥールの紹介
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前田耕作氏 ご講演の様子
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前田耕作氏 ご講演の様子
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岡田保良氏 ご講演の様子
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岡田保良氏 ご講演の様子
日時
2016 2/27(土) 13:00〜
講演
ヘラクレスの旅:東洋と西洋の出会い
前田 耕作 氏 (和光大学 名誉教授)
比較ドーム建築論:ローマとシルクロード
岡田 保良 氏 (国士舘大学イラク古代文化研究所 教授)
主旨説明・進行 岡崎 甚幸 (武庫川女子大学建築学科長、教授、京大名誉教授)
演奏
演奏:ペルシャの伝統音楽  
プーリー・アナビアン 氏(ペルシャ伝統楽器サントゥール奏者)
  ダリア・アナビアン 氏(ペルシャ文化伝道士、ペルシャ音楽と歴史のナビゲーター))
会場
日本工業倶楽部会館 2階 大会堂
東京都千代田区丸の内1の4の6
(JR東京駅丸の内北口から徒歩2分)
■参加対象者入場無料 ・定員200名 事前申込制 
 ※応募者多数の場合は抽選となります。
  当選者の発表は、参加証の発送をもって代えさせていただきます。
■お申し込み方法


1. Webでのお申し込み
 講演会の申し込み専用フォームができました。  
 武庫川女子大学東京センターのホームページをご覧ください。
 
 http://www.dignet.jp/mukogawa-u/tokyo_r11/seminar/tokyo_seminar_6.html

2. 郵便はがき、Faxでのお申し込み
 郵便はがき またはFaxにて 下記を明記の上、お申し込みください。 抽選結果はハガキでお知らせします。ハガキの場合は1枚で2名様まで応募できます。  
 1.講演会名称  
 2.応募者全員の氏名(ふりがな)、年齢、性別  
 3.郵便番号・住所  
 4.電話番号、Fax番号  
 5.E-mailアドレス

 
締切 平成2825日() 当日消印有効
■お申し込み先
郵便はがきの場合:
武庫川女子大学東京センター        
〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルタワー9階  

Faxの場合:0798-67-4505

■お問い合わせ先  
武庫川女子大学東京センター TEL: 03-5512-1170
E-mail : tkycntr@mukogawa-u.ac.jp
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