第3回目の今回は、京都工芸繊維大学大学院教授の石田潤一郎氏、そしてジェイアール東日本建築設計事務所の田原幸夫氏をお招きしてご講演をいただきました。

まずは本学の岡崎建築学科長より趣旨説明がありました。これからの日本の建築のあるべき姿を考える時に、日本の文化に目覚めた「大正」という時代の建築を取り上げることはとても大切であるという問題提起がなされました。

石田潤一郎氏からは「明治から大正へ：転換期の近代建築」というタイトルでご講演をいただきました。西洋の直写であった明治時代の建築から、大正建築はどのように変化していったのか、日本の固有性、アール・ヌーヴォー以降の新造形、新しい建築技術の波及、建築家の自己表現、貸事務所や都市計画等の社会的要求に対する新たな試みといった視点から、新時代にふさわしい建築へと転換していく過程を数多くの事例の紹介と共にわかりやすく解説をいただきました。

田原幸夫氏からは「東京駅赤レンガ駅舎：保存と復原のデザイン」というタイトルでご講演をいただきました。東京駅丸の内駅舎は、辰野金吾の設計により1914年に創建されました。しかし、1945年戦災により南北のドームと屋根・内装を焼失。その後3階建ての駅舎は2階建てに直され、今日まで使われ続けてきました。その歴史ある駅舎をさらに未来へ継承するための今回のプロジェクトについて解説いただきました。プロジェクトの理念、文化財を守り安全性を確保するための構造計画、本物の価値を継承するための保存復原計画、使い続けるためのデザイン、それぞれについて写真や図面を拝見しながら詳細なご説明をいただきました。その後、日本工業倶楽部会館の隣にある新丸ビル・7階のガーデンテラスへ移動し、東京駅の外観の見学会を行いました。

会場は今回も満員盛況で、長時間にもかかわらず最後まで多くの方々が熱心に耳を傾けておられました。ご来場いただき誠にありがとうございました。次回は平成24年6月2日（土）に「昭和の近代建築」と題しまして、東大名誉教授の鈴木博之氏と、株式会社竹中工務店より加部氏、中嶋氏をお招きします。ご期待ください。

Faxの場合：0798-67-4505 　

E-mailの場合：arch@mukogawa-u.ac.jp