第4回目の今回は、東京大学名誉教授・青山学院大学教授の鈴木博之氏、そして株式会社竹中工務店の加部佳治氏、中嶋徹氏をお招きしてご講演をいただきました。

まずは本学の岡崎建築学科長より趣旨説明がありました。本講演会シリーズのこれまでの経緯と今後の予定の説明と共に「これからの日本の建築のあるべき姿を考える時、遠い未来の子孫の生活のために今の自分自身の行為を自制し、豊かな歴史を後世に伝えることが必要ではないか」という問題提起がなされました。

鈴木博之氏からは「わが国の近代建築：大正から昭和へ」というタイトルでご講演をいただきました。大正、昭和の建築に地震が与えた影響という視点から、濃尾地震後のレンガ造建築の耐震性の向上、関東大震災後の鉄筋コンクリート造の普及、阪神淡路大震災後の免震構造化などについて、数多くの事例の紹介と共にわかりやすく解説いただき、事例それぞれにテーマがあり、その積重ねが建築の可能性を広げるというお話をいただきました。

加部佳治氏、中嶋徹氏からは「明治生命館の保存と再生」というタイトルでご講演をいただきました。明治生命館は、岡田信一郎氏の設計により1934年に創建され、1997年に重要文化財に指定されました。明治生命館の建設工事の様子を記録したDVDを見せていただいた後、明治生命館の歴史、文化財を守るための保存復原計画、使い続けるための機能の再生などについて、写真や図面を用いて詳細なご説明をいただきました。その後、明治生命館へ移動し、見学会を行いました。

会場は今回も満員盛況で、長時間にもかかわらず最後まで多くの方々が熱心に耳を傾けておられました。ご来場いただき誠にありがとうございました。次回は平成24年10月13日（土）に「建築家前川國男の作品の保存と再生」と題しまして、東京工業大学大学院教授の藤岡洋保氏と、株式会社前川建築設計事務所より橋本功氏をお招きします。ご期待ください。