2022年9月17日 10:00〜11:30
担当:猪股准教授
兵庫県立美術館にて開催中の武庫川女子大学大学院建築学研究科による展示会「甲子園会館に学ぶ/で学ぶ」を見学し、近代建築の幾何学的な装飾や、アール・デコなど世界的なデザインの流れにおける旧甲子園ホテルの位置づけについて学習しました。
旧甲子園ホテルは戦前、阪神間モダニズムを代表するホテルとして多くの人々をもてなしましたが、戦争のためホテルとしての稼働期間はわずか14年でした。1965年に武庫川学院が国から払い下げを受けて教育施設「甲子園会館」となり、2006年から建築学部の学舎として活用され、2009年に国の登録有形文化財に指定されています。
竣工から90年を超え、2022年から屋根の葺き替えを含む大規模な改修が実施され、日頃は見ることができない棟飾りなども屋根から降ろして解体調査されています。建物の詳細について学習しながら資料として残すため、大学院建築学研究科修士課程の授業(実務経験にカウントされる「建築設計実務」及び「建築保存修復インターンシップ」)において約30名の大学院生が取り組みました。
今回展示されているのは、地階から4階までの平面図、東西南北それぞれの立面図、南北の断面図、窓や天井の寸法、カーペット、ボーダータイル、日華石など材料を示した矩計図。50分の1の縮尺の模型で建物全体が正確に再現されています。また、建物の内部や外壁に施された多彩な装飾を学生が正確に書き写した装飾原寸図もパネル展示されています。装飾原寸図は西ホールの天井飾りや窓ガラス、シャンデリア、打出の小槌や水玉を表現した外壁のレリーフなど13点。いずれもパネルの高さが2~5mあり、最も大きいものは5・1m×3・4mの大作です。さらに、甲子園ホテル時代の客室を、現状やホテル時代の写真から推測してCGで再現した上で、シングルルーム2タイプ、ツインルーム、和洋室のスイートルームの4室をめぐる動画を制作しました。現状や写真と組み合わせることで、用途を変えながら息づいてきた名建築を、時空を超えて楽しめる映像となっています。
装飾原寸図
見学の様子
見学の様子
1/50模型