日本建築学会大会(東北)学術講演会の建築歴史・意匠部門において、学生および若手研究者等の優れた発表を顕彰する「若手優秀発表賞」に堀内環美さん(建築学専攻修了、現:坂倉建築研究所)、内藤杏美さん(現:建築学専攻修士1年)の発表が選ばれました。
堀内環美さん受賞研究発表「障屏画が描かれた室内意匠の変遷 住宅建築におけるやまと絵に着目して」
日本の住宅建築における絵画が描かれた室内意匠は、もともとが主として移動と取り替えが可能なものであり、それらが様々な仕切りや建具として発展、展開した。それらに描かれた障屏画は鑑賞用の絵画というよりも、歌に込めた詩情や自然への叙情を表現するための絵画であり、生活を彩る要素として建築と結びついていたという点において、庭や周辺の自然環境と同じように捉えられていたと考えられる。
内藤杏美さん受賞研究発表「出雲平野における地域空間構成についての一考察 地形の変遷と神社の分布を手掛かりとして」
地形の変遷と神社の分布を手掛かりとして出雲平野における地域空間構成の特徴を明らかにすることを試みた。その結果、出雲平野において、島根半島の鼻高山山系南麓が神の坐す土地として中核的性格を持つ地域であることが明らかとなった。また、出雲平野における古代の道は地形の変遷によって山地から山裾、そして平野部へ移行し、その道の変遷に伴って古代の神社は自然物や祠から常設の建築物である社殿へと姿を変え、鎮座地は山地から山裾へ移行していったと考えられる。現在は出雲平野南部がこの地域の中心地であるが、鼻高山山系南麓が元は島であり古代出雲における重要な土地であったことが出雲の歴史的風景を形づくっているといえる。
>>日本建築学会 建築歴史・意匠委員会