2016・2017年度 修士1・2年「建築設計実務」の演習において、修士1・2年の学生と教員が【朝日エティック株式会社 大阪工場 庭園】の庭園設計に取り組み、植樹体験や庭園灯のデザインなども行いました。日本特有の伝統的な庭園や空間の構成手法を用いた回遊式庭園の設計を行い、社員の憩いの庭、来客をもてなす庭をめざしました。庭園が完成してから2年目となり、植栽が根付いてきています。
この庭園には海から山へと続く一本の道があります。小さく分節され、連続する多様な景観の中を歩きさまざまな庭の風景を味わうことができます。
咫尺千里という伝統的縮景手法の理念を手がかりに、限られた敷地の中に千里の大自然を表現しました。手前から、大きな舟石が浮かぶ海、それに続くなだらかな砂浜や切立つ岸壁、さらに海面からそびえ立つ山々、蓬莱山を望むことができます。
砂利で表現した海によって工場という日常世界から庭を切り離しました。入口の石橋を渡る行為が 日常世界と非日常の庭園空間を切り離すフィルターとなっています。
工場建物の3階の窓から俯瞰して眺めることができる庭の全景を、季節ごとに移り変わる一枚の抽象画として鑑賞できるよう、四季折々に開花や紅葉する植物を選定。
庭園灯のデザイン、照明計画も行いました。
芝生のベンチに座り、泉で疲れた足を癒すことができます。
蓬莱山の頂上から眺められる岬の風景
施工現場:黒色の見切り材は学生が取り付けました。俯瞰からの視点を意識し、曲線の形状は現場でも調整を行いました。
石組み:庭石の配置は事前に模型でも検討しましたが、現場でそれぞれの庭石と対話し、石の顔やその向きを見ながら調整・配置をしました。
植樹の様子:高木の植樹の見学
植樹の様子:阪神園芸株式会社の職人よりご指導いただき、学生がツツジなどの低木や芝生の植樹を行いました。