神谷宏治氏からは「建築家丹下健三」というタイトルでご講演をいただきました。まずは丹下健三の生い立ちについてご紹介いただいた後、広島計画、（旧）東京都庁舎、香川県庁舎、代々木国立屋内総合競技場、東京カテドラル聖マリア大聖堂、大阪万博など多くの丹下作品のスライドを見せていただき、それらの設計に関わる様々なエピソードを交えながら解説していただきました。そして、日本の伝統を現代に再構成し次の世代へ伝えようとする丹下健三の気構えを会場にお伝えいただきました。

川口衞氏からは「丹下健三作品の構造」というタイトルでご講演をいただきました。川口氏が構造設計に関わった代々木競技場第1体育館、大阪万博お祭り広場、シンガポール・インドア・スタジアムなどのスライドを見せていただき、各構造実験の様子、設計において生じた問題点とそれを解決するための方法に至るプロセス、そしてそのプロセスで考案された様々な構造や工法などの解説をしていただきました。日本の伝統の継承を目指した丹下作品の特徴を、技術の側面からお伝えいただきました。

また講演会終了後、株式会社三菱地所設計の野村和宣氏、大西康文氏の解説でJPタワー＜東京中央郵便局＞の見学会を開催しました。まずは野村氏より「JPタワー＜東京中央郵便局＞の見学と解説」というタイトルでご講演をいただきました。吉田鉄郎設計の東京中央郵便局旧局舎の歴史や保存工事の方針、保存工事の様子などを多くの写真や図面でご紹介いただきました。その後2班に分かれて、現地の見学を行いました。

会場は満員盛況で、長時間にもかかわらず最後まで多くの方々が熱心に耳を傾けておられました。ご来場いただき誠にありがとうございました。次回は9月21日（土）に「近代和風建築の保存と再生」と題しまして、京都工芸繊維大学教授の石田潤一郎氏、日本大学理工学部教授の大川三雄氏、そして株式会社三菱地所設計の野村和宣氏をお招きします。どうぞご期待ください。

Faxの場合：0798-67-4505 　

E-mailの場合：arch@mukogawa-u.ac.jp